先日、ドイツのとある化粧品メーカーが出願した日焼け止め剤について翻訳する機会があった。
この日焼け止め剤の特徴は、ヒトが肌に直接塗り込んだ際に「ダマ」が発生しないというものであった。
「ダマ」というと、女性が下地クリームなしでそのままファンデーションを塗ったときに出てきてしまうものを思い浮かべてもらいたい。
要は、この日焼け止め剤は、皮膚上に日焼け止めクリームを塗り込んだ際に、その摩擦で角質または垢が剥がれ落ちたりすることや、当のクリーム成分が汚れとなって発生したりすることを極力なくしたものである。
さて、肝心の「Rollchen」という単語、
大独和辞典には、
@ Rolleの縮小形
A 巻きカフス
※単数の2格(Rollchens)以外は複数形を含めてすべて「Rollchen」
とある。
ただし、Aの意味は明らかに文脈にそぐわないため、すぐに選択肢から外れる。
そうすると「@ Rolleの縮小形」について検討する必要がある。
ここで、「Rollchen」における「...chen」の部分は、
「Hundchen(小犬)」や
「Kleinchen(小包)」のように、
「愛らしいもの」や
「小さいもの」
を意味する後つづりである。
すなわち、上記の「Hundchen(小犬)←「Hund(犬)」のように、「Rollchen」の場合も「Rolle」が元々持つ意味の「小さいもの(縮小形)」を考えてみればよい。
ここで、「Rolle」というと、例えばトイレットペーパーのように「丸く巻かれてあるもの」が真っ先に頭に浮かぶ。
そうなると「Rollchen」は「小っちゃい巻物」なんだろうか。 えっ、お寿司?春巻きとかのイメージ??
しかしながら、原文には
Nachteilig am Stande der Technik ist jedoch der Umstand, dass es beim Auftragen und Verreiben der Sonnenschutzgele auf der Haut haufig zur so genannten 〓Rollchenbildung“ kommt.
と記載されていた。
すなわち、冒頭で述べたように「Rollchen」とは、日焼け止めクリームを皮膚に塗ったり擦り込んだ際に形成(Bildung)されるものを指していた。
ならば、ここでいう「Rollchen」とは、丸く巻かれた円筒形のもの(巻き寿司)が、極端な話、さらに丸みを帯びて縮小したもの(米粒)を想定しているのだろう。
これって、単に「ぶつぶつ(つぶつぶ)のかたまり」だよね。。
そこで、この「つぶつぶのかたまり」は、この発明の属する技術分野を考慮して「ダマ」とした。
ぶつぶつ、、
つぶつぶ、、
のかたまりといえば、
タピオカが食べたくなってきたぞ!
出典:WO2015018548 (A1)